2013/03/29更新 |
3月27日に第424回福岡地区小児科医会学術講演会が開催されました |
一般演題:「食物負荷試験でアナフィラキシーをきたした一例」 特別講演:「小児喘息の適正診療 ~最新の話題とともに~」 喘息の治療は、治療ガイドライン(子どもの病気:気管支喘息のもう少し詳しい説明の部分を参照)に基づいて行われています。また、ガイドラインは最新の研究をもとに定期的に更新されています。 中等症(治療ステップ3)の喘息は、ステロイド吸入が基本的な治療になります。症状が安定しない場合は、吸入ステロイド+β2刺激薬合剤(アドエア)に変更、ロイコトリエン受容体拮抗薬を追加、吸入ステロイドを増量(治療ステップ4に移行)の選択枝があります。また、軽症(治療ステップ2)の場合は、ロイコトリエン受容体拮抗薬か、あるいは吸入ステロイドで治療という選択枝があります。これらの選択枝に治療効果の優劣がないか、最新の研究結果が紹介されました。 軽症の喘息治療でステロイド吸入を行う場合は連日吸入が原則です。しかし、症状が出た時だけステロイドを吸入する間欠投与法の有効性を示すデータも出てきており、今後の検討課題と考えられました。 喘息のお子さんの中には、運動が刺激になり発作が起こる場合があります(運動誘発喘息)。ロイコトリエン受容体拮抗薬による治療がかなり期待出来るのではないかとの研究結果が示されました。 喘息のお子さんがいる場合は、周囲の禁煙やペットを飼わないなどの環境整備が重要と考えられていましたが、その有効性を示す具体的研究結果が示されました。また、プラズマクラスター使用効果が予備研究で期待出来そうですので、本格的な試験準備が進められています。 食物アレルギーのお子さんのアナフィラキシーショック死が先日も報道されました。食物アレルギーによるアナフィラキシーショック死は実際はかなり稀なこと(ハチ刺傷が大部分)ですが、重症の喘息も合併しているお子さんが多いようです。重症喘息+重症食物アレルギーのお子さんは誤食がないように特に気をつける必要があると思われます。また医者サイドとしても、アナフィラキシー症状が始まった場合の迅速な対応システムをあらかじめ学校側と構築しておく必要があります。 |